北朝鮮の情報化可能性とサイバー時代の南北朝鮮関係
『北韓研究学会報』(北韓研究学会)、第4巻第1号(2000)、pp. 51-72.
カン・ウォンシク(クァンドン大学校北韓学科教授)
本文要約
北朝鮮の情報通信産業とインターネット情報検索は、非常に後進的な段階に留まっている。しかし、世界的パラダイムが情報化に変わりつつある状況において、北朝鮮も、結局、情報化の方向に出て行く外ないだろう。第1に、北朝鮮が海外からデジタル化された情報を入手し、これをデジタル形態で保管して管理する必要性が漸次増大するであろうし、自然に北朝鮮内でもデジタル情報の重要性が高まるだろう。第2に、定期的にインターネットに接続するコンピュータ専門家だと知られている金正日委員長が北朝鮮のIT産業発展を
先導していく可能性が大きい。第3に、情報化社会の費用節減次元で北朝鮮も競争力を強化し、経済発展を成すために、情報化しないわけにはいかない。
北朝鮮がネットワーク・コミュニティに接近する場合、韓国のインターネット網に依存する可能性が大きい。その理由は、第1に、ハングルを使用している言語の便利性であり、第2に、韓国のインターネット活用水準が世界的で、各種情報を検索するのに必要な便利なノウハウを蓄積しているためである。インターネット上において、北朝鮮に対する韓国の一方的な情報伝達は不可避で、これは、肯定的に対北朝鮮情報影響力、即ち、北朝鮮の対南情報依存に発展し得るものである。
しかし、北朝鮮の情報化方向が徹底した統制下に行われるであろう点から見ると、サイバー空間での南北交流、協力には、肯定的側面と否定的側面を同時に想定することができる。
肯定的利益は、大体次のように考察することができ、北朝鮮の情報化水準が高まるほど、その効果は、大きく現れるだろう。第1に、社会文化的次元において、民族同質性回復のための共同の場として作用し、民族共同体をネットワーク上において、予め具現できる。第2に、経済的次元において、南北経済交流、協力を加速的に発展させる効果をもたらすのみならず、北朝鮮経済を発展させるための社会基盤施設の拡充という点において、北朝鮮の経済安定と、進んで統一費用の節減効果をもたらす。第3に、政治的次元において、南北間の情報交流は、双方の透明性を増大させることによって、肯定的に政治的信頼を構築する効果をもたらす。
一方、北朝鮮の情報化が制限的かつ漸進的に徹底した統制下に行われるであろうし、韓国社会が開放的多元社会という側面を勘案すると、個人的次元と社会的次元において、次のような否定的側面を想定することができる。第1に、北朝鮮がインターネットを通して、韓国住民個々人を宣伝対象にする可能性に対する憂慮である。第2に、北朝鮮が韓国の電算網を撹乱する可能性、即ち、サイバー・テロに対する憂慮である。
今後も加速的に拡張されていくサイバー世界の属性を勘案すると、その唯一の対策は、事実上、透明性のみで、それは、成熟した国民意識に基礎を置く。問題の素地を予めなくすため、国内外政策を公明正大に推進することである。開放された社会に
相応しい民主的な政策を立案して、推進することだけが唯一の選択である。
最終更新日:2004/03/19